Care Work
介護を辞めたい時に、何が限界なのかを分ける
介護の仕事を辞めたいと思ったとき、原因が「人」なのか「体制」なのかで、取るべき手はまったく違います。人が問題なら事業所を変えれば解けることがありますが、体制の問題を人のせいだと思っていると、次の職場でも同じことが起きます。公的な調査には、この切り分けの材料が残っています。
確認する項目
- つらさの中心は特定の人か、人手の足りなさか
- 身体的な負担が回復しない状態が続いているか
- 介護の仕事そのものへの手応えは残っているか
- 今の事業所以外を見たことがあるか
データで見る介護の職場
- 満足度は、人間関係がプラス32.4、仕事の内容がプラス28.2。一方で人員配置体制はマイナス21.3、賃金水準はマイナス14.3です。 満足と不満の差を取った指標で、プラスなら満足が上回っています。人と仕事内容は評価されていて、評価されていないのは体制と待遇だという結果です。自分のつらさがどちら側にあるのかを、まずここで分けてください。 出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」
- 悩みの1位は「人手が足りない」で49.1%。次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」35.3%、「身体的負担が大きい」24.6%です。 人手不足は事業所ごとに差が出る項目です。人員体制は運営法人の方針で決まるので、同じ介護でも配置が違う事業所はあります。辞める前に、見学時に「日勤帯の人員数」と「1人あたりの担当人数」を聞いてください。 出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」
- 一方で、介護から介護へ移った人が前職を辞めた理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」で24.7%でした。 満足度では人間関係がプラスなのに、辞めた理由では人間関係が1位になります。矛盾ではありません。関係が保てている人は残り、壊れた人が辞めるからです。自分が後者だと感じるなら、全体の傾向より自分の状態を優先してください。なおこの理由を挙げた人の約半数は、具体的な中身として上司や先輩の指導や言動を挙げています。 出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」
- 平均残業時間は1.7時間でした(月給の人の平均月収は248,884円、前年度比3.1%増)。 残業が常態化している職場にいるなら、それは介護という仕事の性質ではなく、その事業所の運営の問題である可能性が高い、ということです。賃金は20〜24歳で5.8%、25〜29歳で5.0%と、若い層の伸びが相対的に高くなっています。 出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」
- 介護サービス職業従事者の有効求人倍率は3.63倍(令和8年3月、常用・パート含む)。全職業計は1.10倍です。 求人1件あたりの求職者が少ない、つまり選べる側にいます。最初に見つけた1社で決める理由はありません。条件の違う事業所を並べてから決めても、求人が無くなる状況ではないということです。 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表
現職に留まる判断
介護の仕事そのものに手応えが残っていて、つらさの中心が人手不足や設備なら、まず今の事業所で変えられる範囲を確認します。配置、シフトの組み方、記録業務の負担。事業所によっては介護ソフトやセンサー機器の導入で夜間の負担が軽くなっている例もあります。何を減らせば続けられるかを3つに絞って、上長に事実として伝えてください。
ただし、身体的な負担が回復しない、特定の相手との関係で生活まで崩れている場合は、交渉より先に環境を離す判断が要ります。これは逃げではなく、働き続けるための判断です。
介護の中で変えるか、外に出るか
事業所を変える方が合う人
- 利用者と関わること自体には手応えがある
- 不満の中心が人員配置・シフト・設備にある
- 資格や実務経験を続けて積みたい
介護の外も見る人
- 身体的な負担が長期的に続けられないと感じる
- 夜勤や不規則な勤務を続ける前提が崩れている
- 介護の現場に戻る想像で気持ちが重くなる
介護の外に出るなら、需給が逆になる
介護から事務職を目指す人は多いのですが、需給はほぼ逆です。介護サービス職の3.63倍に対し、一般事務従事者は0.37倍。求人1件に対して求職者が約3人います。「今より楽そう」という理由だけで動くと、応募が通らない期間が長引きます。
とはいえ、介護経験が事務職で無関係かというとそうではありません。記録の作成、シフトや備品の管理、家族への説明、突発対応の優先順位づけは、どれも事務職で求められる作業です。数字は事務職への転職は「入りやすい」のかで並べています。
次の一手
- つらさを「特定の人」「人手・体制」「身体的な負担」の3つに分けて書き出す
- 体制が原因なら、見学時に聞く項目(日勤帯の人員数・1人あたり担当数・記録の方法)を決める
- 同じ介護で条件の違う事業所を3件、給与・夜勤回数・人員体制の3項目で並べる
- 介護の外も見るなら、応募が通らない期間をどのくらい許容できるかを先に決める
どのサービスが合うか迷う前に。
まずはかんたん6問の診断で、事業所を変えるか・介護の外に出るか・何から動くかを整理しましょう。
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- 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査 結果の概要」(PDF・令和7年7月28日公表)
- 介護労働安定センター「介護労働実態調査」
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)について」
出典を確認した日:2026年9月10日
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